本文へ移動
VO₂MaxVO₂Max(全身持久力)を知る・測る・高める

高める

VO₂Max を高める方法の比較

VO₂Max を高める方法は 1 つではありません。ここでは、研究で検証された 4 つの方法を、「研究でどうやったか」「どれだけ変わったか」で比べます。表の数値は、その研究の参加者の平均です。参加者や期間が異なる研究の数値を、そのまま効果の順位にしたり、あなたの結果の予測に使ったりはできません。

図でわかる

運動の強さを、どう切り替える?

持続運動

自分に合った強さで、続けて動く。

始め方を見る →

インターバル速歩

ゆっくり歩きと速歩を、交互に繰り返す。

歩き方の研究を見る →

HIIT

強い運動の間に、休憩や軽い運動を挟む。

先に安全を確認する →

運動に慣れていない人は低強度・短時間から。下の表は研究での条件と結果であり、一般向けの開始メニューではありません。

線は運動の組み立て方を示す模式図です。時間や強度の尺度はなく、心拍数の推移・効果の大きさ・方法の優劣を示していません。

いつものジムで、持久力づくりを始める

フィットネスクラブやパーソナルトレーニングに通っている人へ。有酸素運動の選び方、筋トレとの組み合わせ、トレーナーへの相談例を紹介します。

次回のジムでできることを見る

まず、公的な推奨

厚生労働省のガイドは、全身持久力を維持・向上させるために、歩行・ランニング・水泳などの有酸素運動を、中高強度で 1 回 30 分、週 3 回以上続けることを勧めています。強さは最高酸素摂取量の 50〜75% 程度、主観的には「ややきつい」と感じる程度が、安全と効果のバランスから適切とされています。

運動に慣れていない人は、低強度・短時間から始め、徐々に増やします。初日から 30 分・週 3 回を満たす必要はありません。高強度の運動は、不慣れな人が急に行うと有害事象のリスクが高くなります(厚生労働省 2023、INFORMATION 4)。

研究で使われたやり方と結果

方法研究でのやり方研究で見られた変化1 回の時間
中強度の持続運動公的な推奨: 中高強度で 1 回 30 分、週 3 回以上(厚生労働省 2023)運動しない群と比べて +4.9 mL/kg/分(18〜45 歳の 28 試験のまとめ、Milanović ら 2015)。VO₂Max の 70% で 60 分・週 5 日・6 週の研究では 53 → 58(Tabata ら 1996)30 分〜
インターバル速歩ゆっくり歩き 3 分と速歩 3 分を交互に 1 日 5 セット以上、週 4 日以上、5 か月歩行の推定最高酸素摂取量+9%。中強度で歩き続けた群より大きい改善(平均63歳の246人を割付、速歩群の解析対象42人。Nemoto ら 2007)。679 人の研究では推定値が +14%(Masuki ら 2019)30 分以上
HIIT(長いインターバル)最大心拍数の 90〜95% で 4 分 × 4 本(各本の間は 70% で 3 分)、週 3 回、8 週55.5 → 60.4 mL/kg/分。同じ総仕事量の中強度の持続運動より大きい増加(解析対象は運動習慣のある男子大学生 40 人、平均 24.6 歳・各群 10 人。Helgerud ら 2007)38 分(準備 10 分・整理 3 分を含む)
HIIT(短いインターバル)15 秒 / 15 秒を 47 回、週 3 回・8 週(Helgerud ら)。20 秒 / 10 秒を 7〜8 本、週 4 日と、残りの 1 日は持続運動+4 本、6 週(Tabata ら)15 秒 / 15 秒で 60.5 → 64.4 mL/kg/分。4 分 × 4 本との増加量の差は有意ではなかった(Helgerud ら 2007)。20 秒 / 10 秒を含む介入で +7 mL/kg/分(7 人、Tabata ら 1996)15 秒 / 15 秒は前後を含め約 37 分。20 秒 / 10 秒は反復部分が約 4 分(準備・整理は別)

表は研究条件の紹介で、一般向けの実施メニューではありません。最高酸素摂取量に対する割合と、最大心拍数に対する割合は、異なる指標です。短い運動区間でも、回復・準備・整理を含めた所要時間は長くなります。

研究のまとめから言えること

  • 持続運動でも HIIT でも、VO₂Max の改善が報告されています。 18〜45 歳の健康な成人を対象にした 28 の比較試験のまとめでは、運動しない群と比べて、持続運動で +4.9、HIIT で +5.5 mL/kg/分 でした。HIIT と持続運動を比較した推定差は 1.2 mL/kg/分 で、「小さい」と評価されています(Milanović ら 2015)。
  • 研究によって改善の幅は異なります。 同じまとめでは、開始時の体力が低い参加者を含む研究や、介入期間が長い研究で、改善幅が大きい傾向がありました。個人の変化量を予測するものではありません。
  • 区間の長さだけで、方法の優劣は決まりません。 疾患のない成人を対象とした 53 の RCT(1,514 人)のまとめでは、短い区間の HIIT でも運動しない群より改善しました。中強度の持続運動に対する優位性は、長い区間や高い運動量などの分類で見られましたが、対象集団によって結果は異なります。区間の長さ・運動量・介入期間は別々の分類で比較されており、全員に共通の最適な組み合わせを示したものではありません(Wen ら 2019)。
  • 総仕事量をそろえた研究では、HIIT の改善が大きい例があります。 運動習慣のある若い男性の比較では、4 分 × 4 本と 15 秒 / 15 秒のどちらも、持続走より VO₂Max の増加が大きくなりました。ただし、2 つのインターバル群の間には有意な差がありませんでした(Helgerud ら 2007)。この結果だけで、年齢や健康状態を問わず長い区間が最適とは言えません。
  • 中高年を対象とした試験では、インターバル速歩で改善しました。 中高年では、速歩とゆっくり歩きを 3 分ずつ交互に行う方法が、中強度で歩き続けるより大きく全身持久力を上げました(Nemoto ら 2007)。

自分に合う方法の選び方

  • 運動の習慣がない → まずは無理なく続けられる歩行などを、低強度・短時間から。持続運動の始め方を参考に、体調を見ながら徐々に増やします(厚生労働省 2023)。
  • 歩く習慣はある → インターバル速歩の研究と注意点を確認します。研究の時間や強度を最初から再現する必要はありません。
  • HIIT に関心がある → 研究の対象者・強度・限界と、始める前の確認を読みます。体力や健康状態に合うかを考えることが先です。
  • 時間がない → 運動区間だけでなく、回復・準備・整理を含めて確保できる時間を考えます。短い区間だから負担が小さいとは限りません。
  • 持病がある、薬を飲んでいる → 先に医師に相談してください。心拍数に影響する薬を飲んでいる人は、心拍数を強度の目安にできません。

研究の平均値を追うために、無理に強度や量を増やさないでください。測定方法ごとの限界は、VO₂Max の測り方で確認できます。

読んだ後の、次の一歩

まずは、無理なくできる運動から

運動習慣がない人も、再開する人も。自分の体調に合わせて、短い時間から始める手順を確認しましょう。

運動の始め方を見る

出典

  1. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 6「全身持久力(最高酸素摂取量)について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001195874.pdf
  2. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 4「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」 https://www.mhlw.go.jp/content/001195872.pdf
  3. Milanović Z, Sporiš G, Weston M. Effectiveness of High-Intensity Interval Training (HIT) and Continuous Endurance Training for VO2max Improvements: A Systematic Review and Meta-Analysis of Controlled Trials. Sports Med. 2015;45(10):1469-1481. https://doi.org/10.1007/s40279-015-0365-0
  4. Wen D, Utesch T, Wu J, et al. Effects of different protocols of high intensity interval training for VO2max improvements in adults: A meta-analysis of randomised controlled trials. J Sci Med Sport. 2019;22(8):941-947. https://doi.org/10.1016/j.jsams.2019.01.013
  5. Helgerud J, Høydal K, Wang E, et al. Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(4):665-671. https://doi.org/10.1249/mss.0b013e3180304570
  6. Tabata I, Nishimura K, Kouzaki M, et al. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Med Sci Sports Exerc. 1996;28(10):1327-1330. https://doi.org/10.1097/00005768-199610000-00018
  7. Tabata I. Tabata training: one of the most energetically effective high-intensity intermittent training methods. J Physiol Sci. 2019;69(4):559-572. https://doi.org/10.1007/s12576-019-00676-7
  8. Nemoto K, Gen-no H, Masuki S, Okazaki K, Nose H. Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people. Mayo Clin Proc. 2007;82(7):803-811. https://doi.org/10.4065/82.7.803
  9. Masuki S, Morikawa M, Nose H. High-Intensity Walking Time Is a Key Determinant to Increase Physical Fitness and Improve Health Outcomes After Interval Walking Training in Middle-Aged and Older People. Mayo Clin Proc. 2019;94(12):2415-2426. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2019.04.039

監修: なし(出典あり)内容の最終確認: 編集方針