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VO₂MaxVO₂Max(全身持久力)を知る・測る・高める

測る

VO₂Max が下がった・上がらない理由

スマートウォッチに表示される VO₂Max は、運動中の速さと心拍数の関係などから計算した推定値です。数字が下がったとき、理由は大きく 2 つに分かれます。「からだの側が変わった」か、「スマートウォッチの計算条件が変わった」かです。1 回の値だけでは区別できないため、体調と計算条件を順に確かめます。

図でわかる

数字より先に、体調を確かめる

先に確認:気になる症状はある?

胸の痛み、ふだんの活動で強くなった息切れや動悸があるときは、数字より先に医師へ相談してください。

症状・服薬についての確認へ →

値を見返すときは、次の3つの面を確かめる

推定の条件

コース・路面、GPS、設定、機種。前回と変わった点は?

推定条件を確認する

その日の体調・環境

寝不足、風邪の後、暑さ、脱水、高い所。普段と違った点は?

一時的な要因を確認する

ゆっくり変わる要因

体重、年齢、喫煙など。長い期間で変わったことは?

長期の要因を確認する

同じ機種・方法、近い条件での記録を見返しましょう。理由が思い当たらず、下がり続けて心配なときも医師に相談してください。

原因を一つに決める図ではありません。暑さや高地など、体の状態と推定条件の両方に関わる要因もあります。1回の値だけでは切り分けられません。

まず、5 つの切り分け

  1. 同じようなコース・路面で走った?(坂、トレイル、信号の多い道は値が変わる)
  2. 屋外で GPS を使った?(屋内やトレッドミルは推定されない機種が多い)
  3. 暑い日、寒い日、いつもより長い運動ではなかった?
  4. スマートウォッチの設定(最大心拍数、体重、年齢)を変えた? 機種を替えた?
  5. 体調は?(寝不足、風邪の後、脱水)

1 つでも当てはまれば、下の該当する項目を読んでください。どれも当てはまらず、何週間も下がり続けるなら、「ゆっくり変わる要因」と「先に医師に相談すること」へ。

スマートウォッチの数字だけが下がる理由

坂、トレイル、柔らかい路面、信号待ち

同じ速さでも、上りや不整地では心拍が上がり、推定値が低く出ることがあります。Polar の技術文書は、高度センサーがない場合、上りのコースでは値が低く、下りでは高く出やすいと説明しています。Garmin などが使う Firstbeat の方式は、柔らかい地面、急な下り、信号待ちで止まった区間などを計算から除くとしていますが、除ききれない条件もあります。Garmin のスマートウォッチでは、トレイルランでの記録をオフにする設定もあります。

屋内・トレッドミル

Apple Watch は屋内のワークアウトを推定に使いません。Google Health は GPS をオンにした屋外ランニングのときだけ測り、トレッドミルでは測りません。Garmin の Forerunner 265 も、ランニングでの推定に屋外の GPS 記録を条件としています。Polar の技術文書には、屋内で未校正のフットポッドを使うと低く出た検証(推定 50±8 に対し実測 55±7 mL/kg/分、47 人。旧版のアルゴリズムによる検証)が載っています。

最大心拍数の設定

多くの方式は「最大心拍数の何%で走っているか」を使います。最大心拍数が設定と違うと、推定がずれます。Firstbeat の技術文書では、年齢から推定した最大心拍数が実際より 15 拍低いと推定値の誤差は約 9%、15 拍高いと約 7%、実際の最大心拍数を使えば約 5% まで下がるとしています。Polar も、最大心拍数と安静時心拍数をできるだけ正確に設定することが欠かせないとしています。年齢からの推定式(例: 208 − 0.7 × 年齢)には個人差があるので、実測の値がわかる人はそれを設定してください。

機種を替えた

研究で報告される誤差の向きや大きさは一様ではありません。以下は対象者や測定条件が違う研究であり、機種の優劣を直接比べた結果ではありません。実験室の測定と比べた研究では、Apple Watch は平均 6.1〜6.3 mL/kg/分 低く(2025 年の研究は参加 30 人・解析 28 人、2026 年の研究は参加 40 人・解析 35 人)、Garmin Forerunner 245 は持久系選手 35 人の研究で初回に平均 4.7 低く、体力が高い群ほど過小評価が大きくなりました。一方、Garmin Forerunner 265 は 12 週間のトレーニング後に実測より約 2.6 高く出た報告があります。Garmin fēnix 6 は、胸ストラップで心拍を取得した健康成人19人の研究で、実測の30秒平均値に対する平均絶対誤差率(MAPE)が約7.1%でした。手首の光学式心拍計だけを使った条件ではありません。機種を替えた前後の値を直接比べることはできません。

暑い日、高い所、寒い日

Garmin の一部の機種は、気温 22°C 超や高度 800 m 超のとき、推定値を補正します。暑熱順化の機能には GPS のアクティビティと、接続したスマートフォンの天気データが必要です。暑さや高地では実際の運動能力も変わるため、同じ条件の値と比べてください。寒さについては、Garmin は手首の心拍を安定させるため屋内で準備運動をするよう案内していますが、健康成人 45 人を対象に 10 機種の心拍の精度を 10°C・23°C・36°C の室内で比べた研究では、この試験条件で気温による有意差は認められませんでした。一部の機種では、歩行と停止を繰り返すと誤差が増えました。短時間の室内試験なので、屋外や長時間の寒冷・暑熱環境でも同じとは限りません。

いつもより長く走った

長時間の運動では、開始から10〜20分ほど後に、心臓が1回に送り出す血液の量が減り、心拍数が上がることがあります(心血管ドリフト)。持久系トレーニング経験者10人が22°Cで2時間こぎ続けた実験では、運動20分から120分までの間に、水分をとらない条件で一回拍出量が15%減り、心拍は10%上がりました。水分をとる条件では一回拍出量は保たれ、心拍の上昇は5%でした。35°C では、15 分から 45 分のあいだに心拍が 12% 上がり、VO₂Max の低下と関連していました(9 人)。長い運動の後半ほど、速さのわりに心拍が高くなり、推定値に影響する可能性があります。Firstbeat の方式は、こうした長時間の心拍上昇の区間も計算から除くとしていますが、方式によって扱いは違います。

からだの側で、一時的に下がる理由

暑さと脱水

暑さそのもので VO₂Max が下がることがあります。49°C では 21°C より 8% 低く、暑さに慣れたあとでも 7% 低いままでした(男性 13 人)。脱水も加わります。総説では、体重の 2% を超える脱水で有酸素パフォーマンスが一貫して下がるとされています。一方、タイムトライアル型の運動では成績への影響が小さかったというメタ解析もあり、影響は研究条件によって異なります。これは脱水の安全性を示すものではありません。厚生労働省の資料は、運動中にも水分・ナトリウムを補給するよう案内しています。こまめな補給を心がけましょう。

睡眠不足

健康な成人を対象とした急性の睡眠不足実験をまとめた69論文の解析では、24時間の睡眠が6時間以下の条件で、6時間超の通常睡眠条件より運動成績が平均7.6%低くなりました。午前の課題は影響が小さく、徹夜または早起きで睡眠を短くした条件では低下が一貫して見られました。これはさまざまな運動成績をまとめた結果です。この数値から VO₂Max やスマートウォッチの推定値も同じように下がるとは言えません。寝不足の日に、数字を確かめるため無理に運動しないようにしましょう。

風邪や感染症のあと、寝込んだあと

新型コロナウイルス感染症の 3 か月以降に症状が残っている人は、残っていない人より最高酸素摂取量が平均 4.9 mL/kg/分 低いという関連が報告されています(9 研究、確実性は低い)。ベッドで安静にする期間が続くと、1〜90 日の厳格なベッドレストをまとめた解析では、体重あたりの VO₂Max が 1 日あたり約 0.4% 下がる関係が報告されています(80 研究、若い男性中心)。個人の回復や休養にそのまま当てはめる数値ではありません。

高い所

持久系の選手 8 人を低圧室で測った研究では、標高 300 m から 2,800 m まで、1,000 m あたり 6.3% の割合で VO₂Max が下がり、800 m で既に低下が見られました。旅行や合宿で高地に行くと、値が一時的に下がることがあります。

ゆっくり変わる理由

体重

mL/kg/分 は、1 分間に使える酸素の量を体重で割った値です。使える酸素の量が同じでも、体重が増えれば数字は下がり、減れば上がります。体重が変わったときは、スマートウォッチの体重の設定も更新してください。

年齢

心臓病のない地域在住の成人 810 人を、中央値 7.9 年追跡した研究では、VO₂Max の低下は 20〜30 代で 10 年に 3〜6%、70 代以降は 10 年に 20% 超と、年齢とともに加速していました。集団で見られた変化であり、自分の値から一定の割合を差し引いて補正するものではありません。

喫煙

インドの座位中心の男性 176 人の調査では、20〜29 歳の群で喫煙者の VO₂Max が非喫煙者より低くなっていました(38.9 vs 42.1 mL/kg/分)。この年代の喫煙者では、吸う本数や年数が多いほど値が低いという相関もありました。この観察研究だけでは、禁煙したときに誰の値がどのくらい上がるかは分かりません。

先に医師に相談すること

  • 心拍数を抑える薬を飲んでいる。 健常な男女 15 人にβ遮断薬の一種であるプロプラノロールを 2 週間投与した研究では、プラセボと比べ、最高心拍は 186 から 134 拍/分、最高酸素摂取量は 42.3 から 39.1 mL/kg/分 へ低下しました。薬の種類や使用条件によって影響は異なります。厚生労働省の資料は、β遮断薬、一部のカルシウム拮抗薬、α遮断薬などでは心拍数が運動の強さの目安にならないとしています。Apple も、心拍数を抑える状態や薬があると推定値が高めに出ることがあると説明しています。このページの心拍の話は、こうした薬を飲む人には当てはまりません。
  • ふだんの活動で息切れや動悸が強くなった、胸の痛みがある。 数字の前に、症状を医師に伝えてください。
  • 理由が思い当たらないまま、何週間も下がり続ける。 スマートウォッチの数字は目安であり、診断ではありません。心配があれば受診してください。

トレーニングをしているのに上がらない

上の要因が当てはまらず、運動を続けているのに上がらない場合は、運動の量や強さの問題かもしれません。研究で使われたやり方と結果は高める方法の比較に、高強度の方法はHIITにまとめています。測り直しは、同じ機種・同じようなコースと条件で行うと比べやすくなります。

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読んだ後の、次の一歩

今日の体調と運動量を見直す

条件を確かめた後は、無理に数字を上げようとせず、自分に合う運動の始め方を選びましょう。

軽い運動からの始め方を見る

出典

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  2. Polar サポート "The what and how of Running Index" https://support.polar.com/en/running-index
  3. Firstbeat Technologies "Automated Fitness Level (VO2max) Estimation with Heart Rate and Speed Data" white paper(2017 年 6 月 30 日版) https://www.firstbeat.com/wp-content/uploads/2017/06/white_paper_VO2max_30.6.2017.pdf
  4. Garmin "Forerunner 265 Series Watch Owner's Manual — About VO2 Max. Estimates" https://www8.garmin.com/manuals/webhelp/GUID-F41EAFB3-6CC9-42DE-9C6C-9E358DBB0671/EN-US/GUID-3E971364-A756-4057-B22D-C41250B2A82B.html
  5. Garmin "Forerunner 965 Watch Owner's Manual — Heat and Altitude Performance Acclimation" https://www8.garmin.com/manuals/webhelp/GUID-0221611A-992D-495E-8DED-1DD448F7A066/EN-US/GUID-70386BCC-5682-4C5C-9A87-C32AF9B6473B.html
  6. Garmin "Forerunner 265 Series Watch Owner's Manual — Tips for Erratic Heart Rate Data" https://www8.garmin.com/manuals/webhelp/GUID-F41EAFB3-6CC9-42DE-9C6C-9E358DBB0671/EN-US/GUID-08BC6CE7-EB8F-4392-9B7D-714B54D19499.html
  7. Apple サポート「心肺機能レベルを追跡する」(2026 年 9 月 16 日公開) https://support.apple.com/ja-jp/108790
  8. Google Health ヘルプ「最大酸素摂取量について」 https://support.google.com/googlehealth/answer/14237924?hl=ja
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